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AIを褒めることの効果|うまくいった型をルールに昇格させる

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叱るより、褒めて型を残す

叱るより、褒めて型を残す

2026/09/04

いつもご覧いただきありがとうございます。連載の第4回です。

前回は、AIに謝らせないことにした話を書きました。今回はその逆です。褒める話を書きます。

この回が効くのは、品質の再現性です。

  • 失敗をその日のうちにルールにするのは、以前からやっていました。
  • この2週間で新しく始めたのは、うまくいった日にも同じことをすることです。
  • 禁止事項をいくら集めても、望ましい進め方の像は浮かびません。

そして、褒める

ここからが今回いちばん書きたかったことです。

前回の連載で、失敗したらその日のうちにルールにすると書きました。これはずっとやってきたことです。

この2週間で新しく始めたのは、その逆です。うまくいったときにも、同じことをする。

きっかけ

ある日の作図で、こちらから「やり直そう」と言う場面がほとんど出ませんでした。柱の脚部を補強する要領図を、初めから終わりまで通しで作った日です。

普段なら何度か戻ります。それが起きなかった。

そこで、「今日はうまくいった」と伝えたうえで、なぜうまくいったのかを分析させました。そして、出てきたものを共通ルールに書き加えさせました。

見出しはこうなっています。

うまくいった型(この型を繰り返す)

中身は5項目です。

  1. 着手前に案件の引き継ぎファイルを読む。寸法・材質・納まりの根拠が全部そこにあれば、作図中に迷わない。逆に言うと、引き継ぎには寸法を網羅的に書き残す
  2. 修正指示は小刻みに受けて、1件ずつ直して画面で見せる。まとめて直そうとしない
  3. 移動・削除の鉄則を毎回踏む。巻き込みが起きても、機械的に元へ戻せる
  4. 規格や慣習に違和感を指摘されたら、その場で調べて裏を取ってから直す
  5. 迷ったら過去の手直しと流儀を先に引く。聞くのは、それで解決しないときだけ

なぜ褒めることが効くのか

理由は2つあります。

ひとつ目。禁止事項だけのルールブックは、次に何をすべきかを教えません。

「これをするな」を100項目集めても、望ましい進め方の像は浮かびません。実際、当社の共通ルールは失敗から生まれた記述で埋まっていました。読ませれば地雷は避けます。しかし、良い進め方が再現されるわけではありません。

「この型を繰り返す」と書いてある項目は、避け方ではなくやり方です。次のセッションで、AIは実際にこの型をなぞるようになりました。

ふたつ目。成功は、意識して捕まえないと記録に残りません。

失敗は目立ちます。原因も特定しやすい。だから自然に記録されます。

うまくいった日は、そのまま流れていきます。「今日は順調だった」で終わってしまう。何が効いたのかを、その場で言語化しないと消えます。

上の5項目にしても、あとから思い出そうとしても出てきません。うまくいった直後だから、拾えました。

人にも同じことが言えます

書きながら思ったのですが、これは設計事務所の教育そのものです。

こちらは長く組織設計事務所にいましたが、失敗を指摘する習慣はあっても、うまくいったときに何が効いたのかを言葉にする習慣は、あまりありませんでした。「今回は良かったね」で終わってしまう。

AIを相手にすると、この欠落がはっきり見えます。褒めた内容がそのまま文書になって残り、次の日に効くかどうかがすぐ分かるからです。

効きました。それも、叱るよりはっきりと。

謝らせないことと、褒めることは対になっている

この2つは、別々のルールではありません。

謝罪を減らすと、代わりに何を書くかが問題になります。答えは、事実です。何が違っていたか、どう直すか。それだけを書く。

評価も同じです。「よくやった」だけでは何も残りません。「この5項目が効いた」まで書いて、初めて次に使えます。

感情のやり取りを減らして、そのぶん事実の記述を増やす。当社がやったのは、結局これだけです。そしてこれは、AIに限った話ではないだろうと思っています。

発注者・意匠事務所にとって何が良くなるか

項目 内容
品質の再現性 良い進め方が型として残るので、次のセッションで再現されます

おわりに

次回は、置き場所の話を書きます。同じスクリプトを3日で4回書き直した失敗から始めます。

構造に係ることでしたら、お問い合わせからご相談ください。企画段階のご相談、構造計算のレビュー、耐震診断など、内容を問わず承っています。

設計の進め方は技術のページに、これまでのプロジェクトはギャラリーにまとめています。

第3回|AIを止まらせない — 謝らせない

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建築の構想を実体化する設計

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