増やす仕組みと、畳む仕組み
2026/09/09
いつもご覧いただきありがとうございます。連載の第6回です。
前回は置き場所の規約を書きました。今回は、そこに溜まっていく記録をどう畳むかの話です。
この回が効くのは、品質の再現性です。
- 回避策を書くときは、理由を1行添えます。理由のない回避策は引き継げません。
- 矛盾する内容を書くときは、古いほうをその場で消します。
- 共通ルールは12日で2万6千字から5万3千字になりました。増え方そのものが指標です。
回避策には、理由を1行添える
記録を残すときの決まりを、もうひとつ作りました。
回避策を書くときは、理由を1行添える。
実例を挙げます。当社の共通ルールには、こう書いてあります。
目次は本文の見出しを直接読む(文書作成ソフトの目次は外部編集では再計算されないため)
括弧の中がなければ、次に読む側はこう思います。「目次を読めばよいのに、なぜわざわざ本文を読むのか。手を抜いているのではないか」。そして、直す必要のないものを直そうとします。
理由が1行あれば防げます。回避策は、理由とセットでなければ引き継げません。
これは人の職場でも同じで、「なぜこの手順なのか」が失われた作業手順書ほど扱いに困るものはありません。誰も変えられなくなるか、あるいは軽々しく変えられてしまうかのどちらかです。
矛盾したら、古いほうを消す
記録が増えると、必ず起きるのが矛盾です。
既存の記述と矛盾する内容を書くときは、古いほうを消すか「※旧版」と印を付ける。追加だけを続けると、どちらが正か判定できない記述が溜まる。
前回の連載の第5回で、1か月ぶんの記録をAI自身に点検させて、矛盾する指示が7か所見つかった話を書きました。その7か所は、全部「新しい記述を足すときに古い記述を消さなかった」結果でした。
そこで、書き加える時点で消す、というルールにしました。点検で見つけて直すより、そもそも作らないほうが安いからです。
あわせて、確定していない検討には「検討中」、確定したものには「確定(確定日)」の印を付けています。印のないものは他所へ引用しない、という決まりです。この2つを組み合わせると、記録は増えても濁りません。
増え方そのものが指標になる
当社の共通ルールは、8月中旬の時点で2万6千字でした。この原稿を書いている時点で5万3千字です。12日で倍になりました。
意図して書き足したわけではありません。失敗するたび、うまくいくたびに、1項目ずつ増えた結果です。
この増え方は、そのまま指標として使えると考えています。増えなくなったら、失敗から学べていないか、学んだことを記録していないかのどちらかです。どちらも良くありません。
ただし、増やすだけでは駄目です。前回書いたとおり、節目に統合して、古いものを畳む工程が要ります。増やす仕組みと畳む仕組みは、両方ないと機能しません。
そして、AIが直接CADを操作するところまで来ました
置き場所と規約を整えた結果、この2週間で新しいことができるようになりました。
AIが、図面ソフトを直接操作しています。
これまでは、AIが図面データのファイルを作り、それを人が図面ソフトで開いていました。いまは、AIが開いている図面に対して、線を引き、寸法を入れ、レイヤを設定し、印刷用のレイアウトを作り、PDFに書き出すところまでを行います。
前回の連載の第3回で「図面の自動生成は下書きまで」と書きました。その下書きの範囲が広がった、という話です。仕上げを人が見ることは変わっていません。
重要なのは、これが成立するのは作図の規則が文書になっているからだ、という点です。
- 部材の符号の頭文字でレイヤをどう振り分けるか
- 破線で表す部分の線種と、その尺度をいくつにするか
- 注記の文字の大きさと、引出線の折れ方
- 図面のタイトルの後ろに縮尺をどう書くか
- 一括で線を移動するときに、どう範囲を決めて、何を数えて確かめるか
これらが全部書いてあるから、任せられます。書いていなければ、出てくるものは毎回違う図面になります。
道具ではなく規約が本体である、というのは前回の連載を通して書いてきたことでした。それがそのまま延長された形です。
解析ソフトについても、外部から操作する仕組みの検証を進めています。こちらはまだ途中です。
発注者・意匠事務所にとって何が良くなるか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品質の再現性 | 記録が増えても濁りません。どれが正かを常に判定できます |
おわりに
次回は、こちら側の話を書きます。作業中に横やりを入れないこと、検算を別のセッションにやらせることについてです。
構造に係ることでしたら、お問い合わせからご相談ください。企画段階のご相談、構造計算のレビュー、耐震診断など、内容を問わず承っています。
設計の進め方は技術のページに、これまでのプロジェクトはギャラリーにまとめています。
第5回|一時ファイルを作らない
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CODESIGN STRUCTURES株式会社
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建築の構想を実体化する設計
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