CODESIGN STRUCTURES株式会社

AIの作業に横やりを入れない|検算は別のセッションにやらせる

お問い合わせはこちら

手を出さない — 横やりを入れない

手を出さない — 横やりを入れない

2026/09/11

いつもご覧いただきありがとうございます。連載の第7回です。

ここまでは、AIの側をどう整えるかを書いてきました。今回はこちら側の話です。人間が何をしていないか、という話になります。

この回が効くのは、品質の再現性です。

  • 途中で口を出しません。横やりは、いちばん高くつく介入です。
  • 代わりに、受け取る単位を細かくしました。
  • 検算は、引き継ぎファイルだけを渡した別のセッションにやらせます。

横やりを入れない

前回、AIに「指示されたことは最後までやってから報告する」というルールを課したと書きました。

これは、こちら側にも同じ制約を課すということです。

作業の途中で、画面に気になるものが見えることがあります。「そこはこう直したほうがいい」と言いたくなる。以前はその場で言っていました。

言うと、どうなるか。AIは新しい指示に切り替わります。そして、元の指示の残りが宙に浮きます。10件の修正のうち4件目で割り込めば、残り6件は忘れられます。こちらは10件終わった前提で次を組んでいるので、後で食い違いが出ます。

もうひとつ、もっと厄介なことが起きます。どこまでが最初の指示どおりで、どこからが割り込みの結果なのか、分からなくなります。うまくいかなかったときに、原因を切り分けられません。

だから、待ちます。

正直に書くと、待つのは楽ではありません。目の前で違う方向に進んでいるように見えると、口を出したくなります。それでも最後までやらせて、出てきたものを見てから直します。

代わりに、受け取る単位を細かくしました。図面なら r1、r2、r3 と版を上げて、1件直すごとに画面で見せさせます。前回書いた「うまくいった型」の2番目がこれです。

途中で割り込まないかわりに、区切りを増やす。これで両立します。

検算は、別の頭にやらせる

もうひとつ、こちら側で決めていることがあります。

作った本人に検算させない。

これは人の設計事務所でも同じです。自分が入力したモデルを自分で検算しても、同じ思い込みで同じところを見落とします。図面を描いた本人が検図しても、描いたときの意図が邪魔をして、間違いが正しく見えます。

だから第三者が見る。当たり前の話です。

AIの場合、これを完全に分離できます。

やり方

手順はこうです。

  1. 作業を終えたら、AIに引き継ぎファイルを書かせる(第1回)
  2. 新しいセッションを開く
  3. そこへ、引き継ぎファイルと成果物だけを渡す
  4. 「合っているか確かめろ」と指示する

第1回に書いたとおり、新しいセッションは前回までの経緯を持っていません。普段は不便な性質ですが、検算では利点になります。

作った過程を知らないので、「そう決めたはずだ」という前提を持ちません。書いてあることと、実物が合っているかだけを見ます。人間の第三者検図より、はるかに徹底しています。前提を共有していないぶん、遠慮もありません。

実際にやっていること

  • 解析の検算:モデルを組み立てるプログラムを作ったら、検算するプログラムを必ず対で作ります。荷重の合計が合っているか、モーメントが保存されているか、部材を分割した点で応力がつながっているか。組み立てた側とは別に書きます
  • 図面の整合チェック:図面と部材リスト、伏図と軸組図、符号と寸法。突き合わせる作業を、別のセッションにやらせます
  • 記録の点検:前回の連載の第5回で書いた「1か月ぶんの記録を読ませて矛盾を洗い出す」も、同じ考え方です

三重になっている

整理すると、当社の成果物はこの3段を通ります。

誰が 何を見るか
1 AIが作る
2 人が見る 構造として妥当か。現場で成立するか
3 別のAIが検算する 書いてあることと実物が合っているか

どれかを抜くと成立しません。

3段目だけでは、構造計画の妥当性は判定できません。2段目だけでは、数百か所の突き合わせは網羅できません。1段目だけなら、そもそも確認していない結果に署名することになります。

発注者・意匠事務所にとって何が良くなるか

項目 内容
品質の再現性 成果物が3段のチェックを通ります。作った側とは別の目が、必ず1回入ります

おわりに

次回は、正直な話を書きます。人がやったほうが速いと分かっていて、それでもAIにやらせている理由についてです。

構造に係ることでしたら、お問い合わせからご相談ください。企画段階のご相談、構造計算のレビュー、耐震診断など、内容を問わず承っています。

設計の進め方は技術のページに、これまでのプロジェクトはギャラリーにまとめています。

第6回|増やす仕組みと、畳む仕組み

----------------------------------------------------------------------
CODESIGN STRUCTURES株式会社
住所 : 東京都目黒区中目黒3丁目6−4
中目黒NNビル102
電話番号 : 03-3793-0456


建築の構想を実体化する設計

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。